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: 人生薔薇色吐息
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    HN:
    むささび
    性別:
    非公開
    職業:
    ポエマー
    自己紹介:
    三沢を探しに行って三沢になる
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    がしゃん。がしゃん。私はおかだに閉じ込められてしまいました、特製の、おかだお手製の、パイプの溶接はお手の物でした、鉄製のごくシンプルなワンルーム。間取りは?風通しのいい二畳のリビング、以上。がしゃんと錠を下ろして一息ついたおかだは頼むからそこでジッとしてろ。暴れるだけ無駄だ。一晩でいいから。と非常にロマンチックなセリフを述べました、そうここが、最高級スイートで、おかだが石油王だったら。もちろん石油王でなくともおかだは素敵なひとなのですが、少し焼けた頰に擦り傷をたくさん作り、顎には無精髭を生やして(ああこれはキャラデザなのでしたっけ)、鼻の頭は煤けていてボサボサの前髪は額にしっちゃかめっちゃか張り付いていました。ジッとしててくれ。
    そうは言われても私は"母さん"のごはんだからなア。発症ののち数時間で所謂"帰巣本能"のような行動が見られる。感染者は母胎<マミー>への回帰を強く望み、それ以外の思考は阻害されるようになる。がしゃん。がしゃん。金網を張った扉に体当たりを繰り返す。気だるい。おかだが小さく見えた。母さんの空腹を満たすため私の細胞は過度の分裂を繰り返すことで大きく膨張し今はおかだの背丈を頭一つ分追い越している。とはいえ目線は並んでいた。全ての細胞が均等に成長するような気遣いなんて世の中どこにもありゃしない。頭は身体のてっぺんに乗ってるタァ限らない。頼むから、一晩でいいんだ!ちぐはぐに育って自由の利きにくい体をぶつけているとおかだの後ろの暗がりに何かを見つけた。ああようやっと。がしゃん。がしゃんがしゃんがしゃんがしゃん
    次こそ。おかだが振り返る。

    結局おかだは顔面から徐々に母さんに"帰る"ところで怒鳴り声を上げて発砲した。母胎の肉片が散らばる。弾倉が空になっても震える手で装填しまた撃った。私の頭はもういくつ目か数えられなかったけれどおかだが三度目はない!三度目は!と言ってすっかり小さくなった足元の母さんに向けてまた撃ったところで静かに後ろへ倒れた。仰け反った頭がこっちを向き眉間には小さな深淵が見える。跳弾。アァ。ばかだね。やり直そう。何処からがいい?おかだは訊く。口だけが滑らかに動いた。わたしたちがひろしまにいくところから。おかだは広島に行くのはやめにしないか。うん。いいよ。じゃよこはまは?横浜は駄目。ならおおさか。大阪?良かないさ。どこならいいの。家がいい。そっか。うちか。それから気付いたら檻に居たのはおかだで、木目調スライド式の扉を開けると電源コードで手足を括られ座っていた。何もここまで。と私は言ったけれどおかだはクウクウと寝ていた。座ったまま、器用なもんだ。


    ニューゲーム
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    おかだと並んでスタートレックを観る。おかだはスタートレックが嫌いではない。二人で並んで画面を見つめる。終わったあとも感想なんか言い合わない。私はおかだのなかの感情をひとつたりとも害したくない。そっくりそのままをそのままで持っていてほしい。だから私は感想なんか言わない。ぜったいに。一言も。なんなら今しがた観ていたということを忘れてしまったかのように。嘘であったかのように。だからおかだがスタートレックをどれだけ好きかは知らない。それでいい。
    ただ一度「スタートレックとスターウォーズどっちがすき?」と聞いたことがある。ウーンと曖昧に答えが返った。私はスターウォーズを知らない。今度一緒に見てみたいなと思うよ。でも多分"今度"はない。別段いらない。
    「こういうのもいいけど何処かへ行こう、夏だよ」思い付きの誘いにおかだは私をじっと見、そんな思い出に縋っても虚しいとは思わないかと呟いた。違う、私は思い出作りがしたいんじゃないよ。その思い出に縋りたいわけでもないんだ。ただ今、あんたと楽しくしていたいとふと思った。衝動的に。でも「そうだね」と返した。おかだは眉根を寄せてすまんとだけ言う。こないだ広島へ行ってから、おかだは慎重だ。
    三沢というのは叶わぬガチ恋の相手で黒田ってのはメチャシコリティの高い二次元の萌えキャラでおかだってのは三沢のせいで摩耗した精神と痛む心を誤魔化すための脳内麻薬で私の妄想の中にしか存在しません。ウッワ字面しんどッ
    最初の手紙は絵葉書だった。
     エイプリルの住所を借りて届いたそれには、所々インクが水濡れでぼけたところもあったけど、几帳面なレオの字がちゃあんと整列してた。先生やオイラたちの健康を気遣う言葉から始まって、変わりないか~とか、ちゃんとやるんだぞ~なんて、実にレオらしいお小言とか。それから、無事に港へ辿り着いたことと、むこうは日差しがうんと強い土地で、もうちょっと奥地に入って修行するつもりだ、ってこと。葉書は船便で届いて、何度かの湿気や乾燥で角がひん曲がっていたのを、エイプリルが分厚い電話帳でアイロンをかけて伸ばしてくれてたんだよね。ほんっと気がきくよね!彼女ってさ。
     オイラは顔を寄せ南国の紙の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、それから冷蔵庫のドアにマグネットで葉書を留めた。カモメの飛び交うサンセットがプリントされてて、隅の方には読み方がよくわかんない町の名前が白抜きで入ってるやつね。見てて思わずため息が出ちゃった。こんな浮かれたところに行っても、レオはサーフィンなんかしない。真面目に瞑想なんかしちゃって、修行して、一年したらまた我が家に帰ってくる。スーパーリーダーのレオナルドに進化して。ン、ウルトラスーパーリーダーになってるかも!グフフ、でもオイラにとっちゃ、どっちでもおんなじだもんね。レオナルドはレオナルド、でしょ?そうそう、レオの出発から、ちょっとだけ家の中が静かになったよん。いつもの通りなら最高に楽しいのになあ。
     …あ~っちょっとちょっと!やだなー湿っぽいのなんて元気印のオイラに似合わないでしょ?





     港まで来るが帰れないと思う。集荷場脇の倉庫で茶色の包装紙を拝借して、なんて書こうかもろくに考えないまま、蝋引きのない面に短くてごく簡単な謝罪の手紙を書きつけた。出発の前日にケイシーに貰った最後の切手を、焦りに汗ばむ指で剥がれないよう何度も何度も押さえつけ、USA行きの郵便コンテナを探す。
     まるで手応えがなかった。強くなれた実感もない。この修行で、おれはどう変われたんだろう。
     先生や兄弟が掛けてくれているであろう期待を裏切るのが怖いというわけではなかった。ただおれは、おれ自身の設けたハードルを越えたという満足感を得られなかった。兄弟をまとめるリーダーとしてはるばる修行に来たのに、成果の無いままこのタラップを踏めない。遠く海の向こうのはずの我が家があまりに近く、すぐそこに思えた。だがついに碇が揚がる。このまま帰るのは簡単だ。だけどだめだ、帰れない。不甲斐なさでこぶしが震えた。背を向けると責めるように汽笛が鳴った。けして逃げるわけじゃない、大丈夫。先生は分かってくれる。





     便りが無いのはいい知らせ。最初の内はそう言って兄弟を励ましていたけど、気持ちはみるみるしぼんでいった。先生はレオナルドを信頼しているからか黙って首を振るだけで、僕はもうその話をする気にもなれない。だって、したって意味が無い。そのうち、兄弟はレオの話をしなくなった。「帰ってこないかもしれない」って不安を口に出して、それが本当になるのを怖がってるみたいだった。コトダマ、っていうのかな。
     あれから大分経った、さみしいのは誰だっておんなじさ。レオが出発してから、下らないことで騒いでいてもなにか物足りなさを感じる。それが何であるかなんて明らかだ、でもそんな感傷に浸っていたって、わるいけど何にもならない。そのうち怒る気だって起きなくなった。
     この間夜中にキッチンに出たら、冷蔵庫の前にぼんやり座っているラファエロとはち合わせた。おしゃべりが下手なあいつがエイプリルを含む家族全員を避けるようになって、発散しきれない鬱憤を、夜な夜なごろつきを追い回すことで解消していることも、僕はなんとなく気付いている。なにも知らないふりをするのは簡単だった。だって、あいつも僕と同じで独りでいたがるときがある性質だったから、お互いの平和の為、不干渉を貫くだけでよかった。あいつは僕になにも言わないし、僕もあいつになにも言わない。それで良かった。顔を合わせない日すら増えた。なんて簡単なんだろう、一緒に住んでる、家族なのにね。
     そのうち、僕は仕事を増やした。忙しくしていないと、昼間は家でヒマしてるラフと喧嘩しそうだった。ああそんなの、したって意味が無い。マイキーも割と熱心に仕事に取り組んでいる。いつも通りふざけ半分だったけど、僕に付き合ってくれてるのかもしれなかった。今日も一日の稼ぎを計上している横で、平日深夜のニュース番組が近頃のNYCの治安を論じている。だけど耳も貸さなかった。気が立っている自覚はあった。





     一応、ここんとこ悪いことばっかりじゃなかった。ケイシーはエイプリルと暮らし始めた。昔やってたような自警団もまた始めたらしい。自警"団"っつっても、団員はひとりだけだけどな。若い時みたいなヤンチャはもうできないとケイシーは笑う。無茶するとエイプリルに叱られるらしい。会った時よりなんていうか、おとなに見えた。こういうの、丸くなったっつうのかな、はっちゃけたところがなくてよ。
     ケイシーは能天気ないいやつで、実の兄貴じゃないけど、ちょっとだけ兄貴みたいなところもあった...ほんのちょっとだけな。シリアスになりすぎないから、相談するにもワリと都合いいんだ。でももう頼れねえ。頼りたくねえ。ケイシーはエイプリルとの生活について考えてる。俺はケッコンが近いんだと思う。ケイシーのただでさえ少ない脳みそが、人生の重大イベントについて真剣に仕事をしてる。いいことだと思う。よく分かんねえけど。
     それに、良い人にも会えた。本物のナイトウォッチャースーツの持ち主。この話は俺だけが知っていればいい。良い出会いってのは、どうにも腐りそうな気持ちになったときに、どうすればいいか教えてくれる。でも、NWのことがレオにばれたら?どんな顔をされる?またリーダー面して偉そうに説教たれるだろう。クソッ、諦めちまえたらどんなにいいか。レオはもう帰ってこないんだって、すんなり飲み込めちまえたら。
     なら、レオより強くなろうと思った。あいつより強ければ、俺に家族を引っ張っていけるだけの力があれば、こんな悔しいようなじりじりした思いはもうしないで済むしな。あー、レオは何を考えてるんだ!先生との約束も破って、連絡も寄こさなくなって。
     出発の日、先生は兄弟が揃うまで自警行為を慎めと命じた。はじめのうちは従ったけど、何かが起こってるのを知ってて家でだらだらしてるのなんてまっぴらゴメンだった。正直ショックだった。アイツが欠けたら一人前のニンジャであることもできないってか?腹も立ったけど、先生の気持ちは分からないじゃない。俺達兄弟はチームだ。いつだって一緒に戦ってきた。だけどリーダーが欠けたら?レオはひとりでも戦えてるじゃないか。俺にだってその力があっていいはずだ。リーダーに導いてもらわなくたってな。そうだ、レオが戻ってこないなら、俺が地上の平和を守ろう。先生は、アイツの修行は俺達兄弟への試練でもあると言った。自分の力を試すいい機会だ。
     でも二ヶ月が経って、半年経って、そのうち気付いた。レオは独りで戦ってるんじゃない。独りで逃げたんだ。いや、そう思いたい自分の気持ちに、気付かされた。アイツのせいで……、あんまりだ。
    なにかおかだに関することを書こう書こうと思っていたのにやっぱり忘れてしまった。
    わたしは最近ことにおかだがわたしを許容し愛しているかのように書き立ててやまないわけだがおかだには本来選択権などはなくてただ許容するという役目だけを負うものであったということは今一度心に留めておきたい所存である。選択権を与えなかったが故に棄てられることもなければ選ばれることもないということをゆめゆめ忘るるな。征服することは勝手だが所有者だからといって無条件に愛されてなるものか。謙虚さは足りなくて宜しいがそこには必ず無情が必要だ。どうにもならない、手に余るような膨大さの無情が。己が暗闇に押し込め自由を奪った客体に何を期待した。
    いや、なら何故戻ってきた。それはひとえにお前が追うからに他ならない。あー疲れる。どうぞ御査収ください。
    色々な人生の中でおかだが迎えに来るということを考えていたらおかだがむくり起き上がって「いい加減にしたらどうだ」と真顔で言うから少し凹んだ。調子乗ってたので反省した。でもおかだは怒る権利無くねと思った。おかだは言う「そういうのはよくない」。そうかもしれないのは知ってたよ大きなお世話。今日は宇宙艦隊士官のわたしを迎えにきてくれたよ、空間的広がりを失う以前の四次元の宇宙のとばり、その裏側まで。おまえそこで植物人間になったわたしにもういいだろ、って言ったんだよ酷くない。
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